皆様、こんにちは。はり灸院SOANのブログをご覧いただきありがとうございます。
7月23日より「大暑」に入りました
一年の中で最も暑さが厳しくなる時期となりました。連日の猛暑で「身体がだるい」「食欲が湧かない(胃がもたれる)」「夜ぐっすり眠れない」といった不調を感じてはいませんか?
東洋医学では、自然界の動きや季節の変化はすべて人間の身体と密接に繋がっていると考えます。
みんな丑の日は気にするけど、、、。その前にやっておくといいことがあるよ。
今回は、2026年7月24日「己亥(つちのとい)」という日の陰陽五行的な意味から、夏真っ只中である「大暑」と「夏土用」の過ごし方、そして心身を健やかに保つための「養生の極意」について深く掘り下げて解説いたします。
少し長くなりますが、暑い夏に負けない身体を作るための知恵が詰まっていますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 暦と陰陽五行で読み解く「己亥」と「夏土用」の身体
まずは、東洋医学の根幹である「陰陽五行説」の視点から、今の季節と体の関係をひも解いていきましょう。
暦の節目「大暑」と「夏土用」
暦の上では、一年で最も暑さが極まる「大暑(たいしょ)」の時期を迎えています。そして同時に、立秋を迎える直前の18日間は
「夏土用(なつどよう)」と呼ばれます。
東洋医学において「土用」とは、季節の変わり目であり、五行では「土(ど)」の性質に属します。身体の器官で言えば、「脾(ひ)」と「胃(い)」、つまり消化吸収システム全般を司る重要な時期です。
7月24日「己亥(つちのとい)」の相剋(そうこく)関係
明日、7月24日の干支は「己亥(つちのとい)」です。これを陰陽五行に当てはめてみましょう。
「己(つちのと)」:五行では「土の陰」に当たります。畑の土のように、優しく水分を含み、栄養を育む土壌を象徴します。
「亥(い)」:五行では「水の陽」(または水の性質)に当たります。絶え間なく流れる水や命の源を象徴します。
ここで注目すべきは、「土」と「水」の関係性です。 東洋医学では、土は水を堰き止め、水は土を削り去るという「相剋(そうこく)関係」にあります。お互いに影響を与え合い、バランスを取り合っている状態です。
脾胃(土)を整えれば、全身に水が行き渡る
相剋関係にある「土(胃腸)」と「水(体液・津液)」ですが、もし私たちの胃腸(土)が冷たい飲食や過食によって弱ってしまうとどうなるでしょうか?
土壌が崩れて濁流になるように、体内の「水(体液・津液)」のコントロールが効かなくなります。その結果、体内に湿気が溜まって体が重だるくなったり(湿邪)、逆に全身に必要な潤いが行き渡らずに熱中症や脱水症状を引き起こしやすくなったりするのです。
つまり、「土」である「脾・胃」の働きをしっかりと守り整えることこそが、体内に「水」をスムーズに行き渡らせ、暑い夏に耐えうる頑丈な身体を作る鍵となります。
2. 胃腸(脾胃)の働きを守る「飲食の養生」
では、具体的に「脾と胃(土)」を守るためには、どのような生活を心がければよいのでしょうか。ポイントはいたってシンプルですが、現代人が最も乱しやすい部分でもあります。
① 夜遅くの飲食を慎むこと
夜間は本来、胃腸も休息に入り、翌朝に向けて細胞を修復する時間です。遅い時間に食事を摂ると、就寝中も消化器官が働き続けなければならず、体内に未消化物(宿食)や無駄な熱が残ります。これが翌朝の「胸やけ」「疲労感」「顔のむくみ」の原因になります。夕食は遅くとも就寝の2〜3時間前には済ませましょう。
眠りの質を良くするためにも、とても大切なことです。
② 腹八分目(満腹の少し手前)で終わらせる
冷たいビールや素麺、アイスクリームなど、夏場はついサッパリしたものを勢いよく食べ過ぎたり、のど越しを求めて過食になりがちです。 消化器官に許容量以上の食べ物が入り込むと、「脾胃の気(消化エネルギー)」が一気に消耗します。「もう少し食べたいな」と感じる満腹の手前(腹七分〜八分)で箸を置く習慣が、夏バテを防ぐ最大の防御策です。
③ 「冷え」から脾胃を守る
冷たい飲み物や生ものは、胃腸の陽気(温めるエネルギー)を直接奪います。体温に近い常温の飲み物や、生姜・シソ・ネギなどの温性(身体を温める)薬味を上手に活用し、内臓を冷やさない工夫をしましょう。
3. 古典から学ぶ養生訓 — 身体を損なう「欲」を慎む
食べられるもん。
と思っても、それは「限定品だから」とか
「インスタで流行ってるやつ」とか
ストレス発散で甘いものの爆食いなどに走っていませんか。
結局胃薬飲んだりして誤魔化していたら
それは養生とは言えません。
では江戸時代、中国の宋の時代はどう考えていたのでしょう。
吉元昭治氏の著書『養生外史 日本編』には、時代を超えて私たちが耳を傾けるべき素晴らしい言葉が引用されています。
孟子は「欲を寡く(すくなく)する」といい、中国の宋の王昭素も「身を養うことは欲をすくなくするに越したことはない」といい、『省心録』でも「欲多ければ則ち生を傷(やぶ)る」といっている。およそ病というものは、みな自分の欲をほしいままにして、慎まないことから起こるのである。養生を志す人はよくよくこのことを戒とすべきである。
私たちの健康を損なう根本的な原因は、実は外からの病原体ばかりではありません。「もっと食べたい」「もっと冷やしたい」「夜更かしして楽しみたい」という、自らの「欲」をコントロールできずに慎まないことから病は生まれます。
夏の養生とは、決して特別な高価なサプリメントを飲むことではありません。自分自身の「欲」を少しだけ抑え、身体の声を聴き、行き過ぎた生活を自制(慎む)すること。これこそが、千数百年前から伝わる真の「養生(命を養う)」の本質です。
4. 「気」を滞らせない — 心と身体の巡りを良くする
『養生外史』では、食事などの物理的な養生だけでなく、「心(感情)」と「気(エネルギー)」の巡りについても深く言及しています。
気は一所に滞らしてはならない。気は全身にあまねく行きわたるようにする。胸の中の一所に集めてはならない。悲しみ・憂い・思いなどは胸中の一所に気が集まるからである。七情が溜りすぎるのは病が生まれる基である。
七情(しちじょう)と気の滞り
東洋医学では、人間の感情を「七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)」と呼びます。適度な感情の起伏は生きていく上で自然なものですが、「悲しみ」「憂い」「思い(悩み)」といった感情が過剰になり、長く抱え込みすぎると、気は胸の中(一箇所)にギュッと凝集して滞ってしまいます。
気が胸に滞ると、次のような身体の不調が現れます。
胸が苦しい、息が浅くなる
ため息が多くなる
喉に何かが詰まったような違和感がある(梅核気)
自律律神経が乱れ、不眠や頭痛が起きる
気は、全身をサラサラと川のように巡っていて初めて健康が保たれます。感情を溜め込み、気が停滞すること(気鬱・気滞)は、すべての病の種となってしまうのです。
夏に気を巡らせるためのアプローチ
胸の気の滞りを解消し、全身にあまねく巡らせるために、以下のことを試してみてください。
深呼吸(吐く息を意識する):胸に溜まった思いや緊張を、フワーッと息と一緒に体外へ吐き出すイメージで行います。
適度な軽い運動:朝夕の涼しい時間帯に軽く散歩をし、手足をしっかり動かすことで、滞った気が全身へ誘導されます。
思いを紙に書き出す・誰かに話す:胸の中に閉じ込めている「憂い」や「悩み」を言語化して外に出すことで、気の滞りが解けます。
5. まとめ:東洋医学・鍼灸ができること
夏バテや夏の不調を防ぐポイントをまとめます。
「脾胃(土)」を守る:夜遅くの飲食を控え、腹八分目を心がけることで体内の「水」が正しく巡る。
「欲」を慎む:過度の飲食や不摂生を自制することが最大の予防。
「気」を全身に巡らせる:考えすぎない、悩みや悲しみを胸に溜め込まず、深呼吸や適度な運動で気をめぐらせ、
どうしても自分一人では胃腸の疲れが取れない、胸がモヤモヤして気が巡らない、体が重くて動けないという時は、ぜひ当院の鍼灸治療(経絡治療)で気をめぐらせましょう!
鍼灸治療は、乱れてしまった「陰陽五行のバランス」を整え、弱った脾胃の働きを高めるとともに、全身の「気の滞り」を優しく解きほぐす手助けをいたします。たった数本の鍼やお灸で脈が整い、お腹が温まり、すーっと全身に気が巡る感覚を実感していただけるはずです。
暦の節目であるこの時期、ご自身の身体と心に少しだけ優しくなって、心地よい夏を過ごしていきましょう。
皆様のご来院を、心よりお待ちしております。
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